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大阪地方裁判所 平成3年(ワ)3196号 判決 1993年5月27日

大阪府吹田市豊津町一六番五号

原告

株式会社三和コーポレーション

(旧商号・株式会社三和企画)

右代表者代表取締役

渡部一二

右訴訟代理人弁護士

美根晴幸

右輔佐人弁理士

塩出真一

大阪府岸和田市今木町一〇一番地

被告

新日本ケミカル・オーナメント工業株式会社

右代表者代表取締役

中岸光義

右訴訟代理人弁護士

山上和則

主文

一  原告の請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第一  請求の趣旨

一  被告は、別紙物件目録(一)及び(二)記載の物件を製造し、販売してはならない。

二  被告は原告に対し、金一二〇〇万円及びこれに対する平成四年六月三日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二  事案の概要

一  争いのない事実

1  原告の権利

原告は、次の実用新案権(以下「本件実用新案権」といい、その考案を「本件考案」という。)を有している。

(一) 考案の名称 食品包装パック

(二) 出願日 昭和五九年七月一〇日(実願昭五九-一〇四三六九)

(三) 出願公開日 昭和六一年二月四日(実開昭六一-一九五八二)

(四) 出願公告日 昭和六二年八月一二日(実公昭六二-三一四一七)

(五) 登録日 平成二年三月二三日

(六) 登録番号 第一八〇九五一二号

(七) 実用新案登録請求の範囲(以下「本件登録請求の範囲」という。)

「トレイ内の食品を透明フイルムで包装する食品包装パツクにおいて、二股部に縦部材を連設し、さらにこの縦部材に傾斜板を連設してプラスチツク製の間隔保持具を形成し、この間隔保持具の二股部をトレイの側壁に係合させ、食品を入れたトレイを透明フイルムで傾斜板の上面を押圧して包装するようにしたことを特徴とする食品包装パック。」(別添実用新案公報〔以下「公報」という。〕及び実用新案法一三条で準用する特許法六四条の規定による補正の掲載公報〔以下「補正公報」という。〕参照。なお、右補正後の本件考案の明細書を、以下「本件明細書」という。)

2  本件考案の構成要件及び作用効果

(一) 構成要件

(1) トレイ内の食品を透明フィルムで包装する食品包装パックにおいて、

(2) 二股部に縦部材を連設し、さらにこの縦部材に傾斜板を連設してプラスチック製の間隔保持具を形成し、

(3) この間隔保持具の二股部をトレイの側壁に係合させ、

(4) 食品を入れたトレイを透明フィルムで傾斜板の上面を押圧して包装するようにしたことを特徴とする食品包装パック。

(二) 作用効果

(1) 間隔保持具で刺身などの食品との間隔を保つことにより、透明フィルムがトレイからはみ出した食品に密着して押圧することはなく、このため食品の外観(見映)を良好にし、かつ鮮度を保つことができる。

(2) 二股部をトレイ側壁に係合することにより、間隔保持具はトレイ側壁にワンタッチで係合固定されるので、トレイの大きさ、形状に関係なく、パック包装作業を迅速、かつ確実に行うことができ、しかもトレイの底に間隔保持具を据えるスペースを必要とせず、見映も良好であり、さらにトレイに溝を有する突起物や、段部を設ける必要がない。

3  被告の行為

被告は、業として、別紙物件目録(一)及び(二)記載の食品包装パック用の間隔保持具(以下両者をまとめて「イ号物件」という。)を製造・販売している。

4  原告も、被告と同様、食品包装パック用の間隔保持具を製造・販売しており、原告と被告は競業関係にある。

二  本訴請求の概要

本件は、原告が、

(1)  主位的に、イ号物件は本件考案に係る食品包装パックの製造にのみ使用する物であるとして、被告に対し、イ号物件の製造、販売の停止及びイ号物件を販売したことにより原告が被った損害(一五〇〇万個〔製造販売個数〕×〇・八円〔一個当たりの純利益〕=一二〇〇万円〔被告が得た利益〕)の賠償並びに民法所定の遅延損害金の支払、

(2)  イ号物件が本件考案に係る食品包装パックの製造にのみ使用する物であると認められないときは、予備的に、被告のイ号物件の宣伝販売行為は、末端ユーザーがイ号物件を使用して食品包装パックを製造・販売することによって本件実用新案権を侵害するのを教唆幇助する行為であるとして、右(1)と同額の損害賠償の支払

を求めた事案である。

三  主たる争点

1  イ号物件を食品包装パックに使用した場合、本件考案の構成要件を充足するか。すなわち、

(一)イ号物件は、本件考案の構成要件(2)の間隔保持具を構成する二股部、縦部材及び傾斜板をすべて備えているか。

(二) イ号物件の上部(側縁の棒状板20、22の上部の縦部材32及び傾斜部材34と中央の細い板部28の上部の縦部材38及び傾斜部材39並びに上縁の円弧状板26によって形成される部分)は、本件考案の構成要件(2)の間隔保持具の上部(縦部材及び傾斜板)の単なる設計変更ないし均等物か。

(三) イ号物件は、本件考案の構成要件(2)の間隔保持具の上部(縦部材及び傾斜板)及び同下部(二股部)に切欠き部分をそれぞれ付加したもの(本件考案の利用)か。

2  右1が肯定された場合、イ号物件は、本件考案に係る食品包装パックの製造にのみ使用する物といえるか(いわゆる間接侵害の成否)。

3  右1が肯定され2が否定された場合、被告のイ号物件の宣伝販売行為は、末端ユーザーの本件実用新案権侵害行為を教唆幇助する行為といえるか。

4  被告が賠償責任を負担する場合、原告が受けた損害の金額。

第三  争点に関する当事者の主張

一  争点1(イ号物件を食品包装パックに使用した場合、本件考案の構成要件(2)ないし(4)を充足するか。)

1  原告の主張

(一)イ号物件を使用した食品包装パックは本件考案の構成要件(2)ないし(4)を充足する。

本件明細書に示された本件考案の間隔保持具(構成要件(2))の実施例とイ号物件の間隔保持具の構成を対比すると、イ号物件は、間隔保持具の下部において、本件考案の実施例の二股部の一部を切り欠き、三本足構造とし、側縁の棒状板20、22の下部の係合部材30と中央の細い板部28の下部の係合部材36とで形成される嵌着挟持部を側面視二股部としている点(相違点<1>)及び係合部材36をイ号図面(一)及び(二)(以下両者をまとめて「イ号図面」という。)の第2図(側面図)に図示のように曲成し挟持部分としている点(相違点<2>)で、その上部において、本件考案の実施例の縦部材及び傾斜板の一部をいずれも切り欠き、係合部材30に縦部材32及び傾斜部材34を、係合部材36に縦部材38及び傾斜部材39を順次連設するとともに、さらに傾斜部材34、39を上縁の円弧状板26に連設している点(相違点<3>)で、一応相違はしている。

しかし、本件考案は、間隔保持具のみをその対象とするものではなく、間隔保持具を使用した食品包装パックをその対象とする考案であり、透明フィルムが食品に密着しないように間隔保持具をトレイ側壁に係合することにより迅速、確実にパックできるようにしたものであって、かような食品包装パックの間隔保持具において、その機能を達成するためには、要は、下部の二股部に上部の縦部材と傾斜板を連続的に形成(連設)し、それが食品を入れたトレイ側壁に係合されて、傾斜板をトレイの上方で支え、かつ、この傾斜板によりトレイの上に張られる透明フィルムを安定的に支持し、食品との間に間隔を維持できる構造となっていればよいのであって、本件考案の間隔保持具の構造上の本質的特徴もその点にある。したがって、その意味からすると、本件明細書添付図面には二股部、縦部材及び傾斜板がいずれも平板状のものが示されているが、それらは単に本件考案の実施例を示すものに過ぎないから、本件考案の技術的範囲をみだりに右実施例に限定して解釈すべき理由は全くないのであって、本件登録請求の範囲の「二股部に縦部材を連設し、さらにこの縦部材に傾斜板を連設してプラスチック製の間隔保持具を形成し」とは、結局、間隔保持具の上部は、「二股部から上方に伸張する部分」である「縦部材」と、さらに、「縦部材からトレイの内側の方向に伸張する部分」である「傾斜板」とで構成され、かつ、「二股部」と「縦部材」及び「縦部材」と「傾斜板」がそれぞれ連結して一体的に形成(「連設」)されるという構成を表現しているものと解釈すべきである。

これに対し、イ号物件は、以下に述べるとおり、本件考案の間隔保持具の二股部、縦部材及び傾斜板に「切欠き部を設ける」という慣用手段を付加して作られたものに過ぎない。すなわち、イ号物件は、本件考案の間隔保持具の一実施例として本件明細書添付図面第5図に図示されている間隔保持具の二股部3の内側の板(トレイ側壁6の内面部分に当接する板)に下縁部及び両側縁部を残すように切欠き部40を設け、縦部材4及び傾斜板5に、周囲を枠状にし、かつ、中央部に細い板部28を残すように切欠き部42を設け、二股部3の外側部を細くしたものである。この点をイ号図面の第1図、第2図に基づきさらに敷衍すれば、切欠き部40、42を設けた結果、本来、二股部に連結されるべき中央の細い板部28の上部の縦部材38が、傾斜部材39を介して枠の上縁の円弧状板26に連結されるようになったものであり、もし切欠き部40、42を設けなければ、中央の細い板部28の上部の縦部材38は板状の縦部材となって二股部に連結され、イ号物件の間隔保持具は右実施例の間隔保持具と同様の構造(形状)となるのである。

そして、イ号物件には、その下部において、トレイ側壁に係合する部分として、係合部材30と係合部材36とで形成される嵌着挟持部(側面視二股部)が存在し、本件明細書には、実施例として、三本足構造を有するものも示されている(補正公報訂3頁41~42行、公報第7図、第8図)から、本件考案の間隔保持具の二股部は二本足のみならず、三本足構造のものも含んでいるものというべく、イ号物件の三本足構造(但し左右足部は下縁部分で連結されている。)は本件考案の一実施態様に属するというべきである。したがって、係合部材30と係合部材36とで形成される嵌着挟持部(側面視二股部)は本件考案の構成要件(2)の二股部に該当し、相違点<1>があるからといって、本件考案の間隔保持具とイ号物件の構成の実質的同一性が否定されるものではない。

また、イ号物件における中央足部の挟持部分36はトレイ側壁を押圧するために設けられたものであり、本件考案においても二股部の足の幅を適宜定めることにより同一の効果を奏し得る。すなわち、係合部材36をイ号図面の第2図(側面図)に図示のように曲成し挟持部分としているとの相違点<2>は、間隔保持具を安定的にトレイに係合させるために設計上設けられた付加的構成に過ぎず、右相違も、本件考案の間隔保持具とイ号物件の構成を異ならしめるものではない。

さらに、相違点<3>に関しても、本件考案の間隔保持具の「縦部材」とは「二股部から上方に伸張する部分」、傾斜板とは「縦部材からトレイの内側の方向に伸張する部分」であり、「縦部材」と「傾斜板」の形状については何ら限定されていないのであるから、イ号物件のように縦部材と傾斜板が連続してトレイの内側に湾曲せしめられ、円弧状を形成しているものも、本件考案の間隔保持具に含まれるのであり、イ号物件の縦部材32及び38は本件考案の間隔保持具の縦部材に該当し、傾斜部材34、39及び円弧状板26は本件考案の間隔保持具の傾斜板に該当する。このことは、本件明細書の考案の詳細な説明の「実施例」の項に、「縦部材4・・・は、必ずしも二股部3に対して垂直なもののみを意味するものではなく、ある程度、傾斜していても・・・よい」との記載があること(補正公報訂3頁34~35行)からも明らかである。

以上のとおり、右各相違点はいずれも本件考案の実施態様に含まれる範囲内のものか若しくは付加的構成に過ぎず、イ号物件の構成は、本件考案の構成要件(2)を充足する。そして、これを食品包装パックに使用した場合、「間隔保持具の嵌着挟持部(側面視二股部)をトレイの側壁に係合させ」るものであるから、本件考案の構成要件(3)も充足する。また、本件考案の構成要件(4)の「食品を入れたトレイを透明フィルムで傾斜板の上面を押圧して包装する・・・」とは、間隔保持具でフィルムを上方に安定的に支えるという本件考案の主たる目的を達成するために傾斜板の上面でフィルムを支えるという意味であるところ、イ号物件の間隔保持具を食品包装パックに使用した場合、食品を入れたトレイをフィルムで傾斜部材34、39及び円弧状板26の上面を押圧して包装することになるから、本件考案の構成要件(4)も充足する。

【被告主張に対する反論】

被告は、係合部材30、36は一点で合致、合流していないから、それらで形成される嵌着挟持部(側面視二股部)は、本件考案の構成要件(2)の二股部とはいえない旨主張する。しかし、本件考案において二股部の足は一点で合致、合流することを要件としていないから、被告の右主張は前提を欠き失当である。

また、被告は、本件考案の間隔保持具がトレイ側壁に係合させるタイプのものであるのに対し、イ号物件の間隔保持具はトレイ側壁に挟着させるタイプのものであり、その点で両者はその技術的思想を根本的に異にしている旨主張する。しかし、本件考案の間隔保持具の二股部の両足片の間隔は広いものから狭いものまで多種多様な範囲で選択可能であり、その実施品の設計に際し、当然安定的に係合するよう二股部を設計することが前提になっており、その場合、「係合」といっても、「挟着」といっても、結局は間隔保持具をトレイ側壁に安定的に係合させるための設計上の問題に過ぎず、それらが実質的に意味するところはいずれも同じであって、本件考案の間隔保持具とイ号物件はその技術思想を共通にしている。したがって、被告の右主張は失当である。

(二) イ号物件を食品包装パックに用いた場合の作用効果は、左記のとおりであり、本件考案の作用効果と全く同一である。

(1) 間隔保持具で刺身などの食品との間隔を保つことにより、透明フィルムがトレイからはみ出した食品に密着して押圧することはなく、このため食品の外観(見映)を良好にし、かつ鮮度を保つことができる。

(2) 二股部をトレイ側壁に係合することにより、間隔保持具はトレイ側壁にワンタッチで係合固定されるので、トレイの大きさ、形状に関係なく、パック包装作業を迅速、かつ確実に行うことができ、しかもトレイの底に間隔保持具を据えるスペースを必要とせず、見映も良好であり、さらにトレイに溝を有する突起物や、段部を設ける必要がない。

(三) 単なる設計変更(均等物)

前記相違点<1>ないし<3>にかかる変更は、当業者にとってきわめて容易になし得る変更であり、この変更後のものは、本件考案と対比してその目的及び効果(間隔保持具で透明フィルムを支え、透明フィルムと食品の密着を防ぎ、盛り付けしたままの姿で、容器の大きさ、形状に関係なく能率よく、迅速、確実にパックでき、しかも保持具のスペースを必要としない食品包装パックを提供すること)に格別の差異を生じないことも前記のとおりであるから、これは単なる設計変更ないし均等物である。したがって、イ号物件を使用した食品包装パックは本件考案の技術的範囲に属する。

(四) 利用関係(付加)

イ号物件の形状は、前記のとおり本件考案の間隔保持具における二股部、縦部材及び傾斜板に「切欠き部を設ける」という要素を付加したものとみることもできる。すなわち、イ号物件は、本件考案の間隔保持具の構成を全て含み、これに二股部、縦部材及び傾斜板に「切欠き部」を付加した利用考案であり、この観点からしても、イ号物件を使用した食品包装パックは本件考案の技術的範囲に属する。

2  被告の主張

(一) イ号物件の構成及び作用効果は、以下に述べるとおり、本件考案の構成要件(2)の間隔保持具のそれとは全く異なっている。

(1) 下部(「二股部」)について

イ号物件には本件考案の構成要件(2)の「二股部」は存在しない。その詳細は次のとおりである。

【構成の相違】

<1> 原告は、側縁の棒状板20、22の下部の係合部材30とイ号図面の第2図・第3図に図示のように複雑に屈曲した中央の細い板部28の下部の係合部材36とで形成される部分を側面視二股部と表現する。しかし、中央の細い板部28は可動のものであるから、仮にイ号図面の第2図(側面図)に描かれた状態で係合部材30と36が一時的に二股のように見えたとしても、それは、中央の細い板部28を前後どちらかに動かした瞬間、原告の主張する側面視二股部ではなくなってしまう。

<2> 本来、二股の語源は、人間の二本の脚及びその付け根を総称するところから来たものであり、だからこそ俗に二股をかけるなどと表現するわけであって、要するに、二股部というためには、二本の棒状のものが一点で合致、合流している必要がある。ところが、イ号物件の係合部材30と36は三本足構造であり、しかも一点で合致、合流していないから、これを二股部と称すれば、明らかにその語義から外れることになる。

<3> 本件明細書の考案の詳細な説明の記載及び添付図面の表現を参酌すると、本件登録請求の範囲の「二股部」は、以下のとおりその意味内容を限定解釈すべきものである。すなわち、原告は、本件明細書において、本件考案の先行技術として実開昭五八-七九五五七号、実開昭五七-二四二六五号、実公昭五八-四六九七二号及び実公昭五九-二六八一号の各公報に示される技術を挙げ、それらのもつ問題点の解決策として本件考案を提案しているのであるから、そこで使用されている用語の意味内容は、右各公報に開示されている実施例及びその添付図面に表現されている技術内容と大きく乖離することは許されない。この見地からすると、「二股部」とは、断面がフォーク状又はコの字状のものを指すことは明らかであり(本件明細書添付図面第5図~第7図参照)、本件明細書の考案の詳細な説明及び添付図面の記載・表現から想到する二股部の構造は、音叉様の形状のものがトレイ側壁の縁に騎乗スタイルで係合されている構成のものに限られる。

これに対し、イ号物件は、全体が合成樹脂材料で作られているが、原告が無理にこじつけて側面視二股部と定義する側縁の棒状板20、22の下部の係合部材30と、中央の細い板部28の下部の係合部材36とで形成される挟持部は三本足構造で音叉様の構造(形状)ではなく、また、本件考案の間隔保持具のように単にトレイ側壁の縁に騎乗スタイルで係合されるだけでなく、プラスチック製の中央の細い板部28には弾力性が付与されており、その弾性変形を利用して係合部材30と36との間にトレイ側壁を嵌着挟持する構造になっており、本件考案とはその技術的思想を根本的に異にしている。

【作用効果の相違】

右構成の相違に由来して、イ号物件は、トレイ側壁との結びつきにおいて、本件考案の間隔保持具よりもはるかに強固で安定しており、その結果、極めて良好な食品包装パックが得られるのである。

(2) 上部(「縦部材」及び「傾斜板」)について

イ号物件には本件考案の構成要件(2)の「縦部材」及び「傾斜板」は存在しない。その詳細は次のとおりである。

<1> 縦部材

本件登録請求の範囲の記載からは「縦部材」の具体的形状は全く不明であるが、本件明細書添付図面第5図~第7図によれば、本件考案の「縦部材」は一枚で、しかも文字どおり「縦」又は「垂直」の状態の部材を意味し、また、これを二股部に「連設」するとは、縦部材が断面がフォーク状又はコの字状の二股の合致、合流した箇所(二股部)に直結している状態を意味しているものというべきである。これに対し、イ号物件には本件考案の縦部材に対応するものが32と38の二本存在し、しかも、前述したようにそもそもイ号物件には本件考案の構成要件(2)の二股部が存在しないから、右32と38を二股部に連設することも物理的に不可能であって、イ号物件が本件考案の権利の範囲外であることは明らかである。

このことは、本件考案の出願経過からも裏付けられる。すなわち、本件考案の出願当初の明細書では、縦部材については垂直板の語が用いられていたが、昭和六二年二月二六日付の手続補正書により、それが縦部材と表現変更された。縦部材は、垂直板の上位概念であるから、右表現変更から二つの問題が生じる。すなわち、第一には、本件考案について登録査定をした特許庁の意思としては、縦部材とは、あくまでも縦方向の全ての部材を含むものではなく、垂直あるいは直立状態の板を意味するものと解釈したと考えることである。この場合には、要旨変更の問題は生じないが、本件登録請求の範囲の解釈問題としては、縦部材とは垂直板を意味することになるから、イ号物件は問題なく本件考案の権利の範囲外となる。第二には、特許庁が要旨変更を看過して本件考案に登録を与えたと考えることである。この場合、原告自身による出願後・補正前の本件考案の実施品の販売により、本件考案は無効原因を内包することになり、本件考案の権利範囲は本件明細書の実施例に狭く限定されることになるから、イ号物件はこれまた問題なく本件考案の権利の範囲外となる。

<2> 傾斜板

本件考案の「傾斜板」は一枚で、しかもそれは一本の縦部材と〇~九〇度、好ましくは二〇~七〇度の角度をなしている板のことをいうのである(公報4欄5、6行、添付図面第3図)。これに対し、イ号物件には本件考案の傾斜板に対応するものが34、39、26と三本存在し、しかもそれらは32と38に連設されているのであるから、本件考案の構成要件(2)の「傾斜板」と異なることは明らかである。

(二) 単なる設計変更ないし均等物の主張について

原告は、イ号物件と本件考案の間隔保持具の構成が相違点<1>ないし<3>で異なることを認めながら、その一方で、右構成の相違は、本件考案の二股部、縦部材及び傾斜板に切欠き部を設けたことに伴う単なる設計変更ないし均等物に過ぎない旨主張する。しかし、右原告主張は、実用新案法が技術的思想の創作のうち、方法を除外し、物品の形状、構造又は組合わせに係るもの、すなわち物品に具体化された技術的思想のみを保護の対象としている(同法一条、三条一項)ことを無視している。また、明細書には、当業者が容易にその実施をすることができる程度に、その考案の目的、構成及び効果を記載しなければならないとされている(同法五条四項)。したがって、右の見地からすれば、実用新案法上、形状の相違や構成の変更はいずれも極めて重要な事柄であり、イ号物件と本件考案の間隔保持具の構成との間には実質的同一性はなく、前記相違点<1>ないし<3>を単なる設計変更ないし均等物と評価することはできない。

(三) 利用関係の主張について

いわゆる利用関係が成立するためには、侵害物件が当該考案の対象をそっくりそのまま含むという関係になければならない。ところが、イ号物件は、本件考案の構成要件について単なる付加ではなく置換を行ったものである以上、そもそも本件において利用関係を論じる余地はない。

二  争点2(イ号物件は、本件考案に係る食品包装パックの製造にのみ使用する物か。)

1  原告の主張

イ号物件は、本件考案に係る食品包装パックの製造にのみ使用する物である。被告は、イ号物件が食品包装パック用の他に園芸用としても使用されると主張するが、それは単に使えば使い得るといった程度の可能性に過ぎず、経済的、商業的に実用性のある用途とはいえない。

2  被告の主張

イ号物件は、食品包装パックの製造にのみ使用される物ではなく、園芸用(苗木、盆栽等の植木鉢の包装用)にも使用される物であり、現に株式会社ミツギロンは、イ号物件と構造は違う(単に植木鉢の縁に馬乗り状態に置かれる構造である。)が、作用効果の点ではイ号物件と酷似している園芸用の間隔保持具を製造・販売している。したがって、イ号物件は、食品包装パック用の他にも、園芸用としても経済的、商業的ないし実用的に使用される物であり、本件考案に係る食品包装パックの製造にのみ使用する物とはいえない。

三  争点3(被告のイ号物件の宣伝販売行為は、末端ユーザーの本件実用新案権侵害行為を教唆幇助する行為か。)

(原告の主張)

被告は、イ号物件を使用した包装パックを大々的に宣伝販売しているが、これはスーパー・マーケットなどの末端のユーザーに対しイ号物件を使用して本件実用新案権を侵害する食品包装パックを製造・販売することを積極的に推奨するものである。右被告の宣伝販売活動がなければ、末端ユーザーが本件実用新案権侵害行為(不法行為)に及ぶことはないから、被告は右侵害行為に積極的に加担するものであり、被告のイ号物件の宣伝販売行為は、末端ユーザーの本件実用新案権侵害行為を教唆幇助する行為である。したがって、仮にイ号物件の製造・販売が本件実用新案権の間接侵害に該当しないとしても、被告は本件実用新案権侵害の教唆幇助者として損害賠償責任を負担せねばならない。

第四  争点に対する判断

一  争点1(イ号物件を食品包装パックに使用した場合、本件考案の構成要件(2)ないし(4)を充足するか。)

1  イ号物件の構成並びにこれを食品包装パックに使用した場合の構成及び作用効果について

イ号物件は、「トレイ1'の側壁6'の内面部分に当接する側縁の棒状板20、22の下部の係合部材30の受止め部分とトレイ1'の側壁6'の外面を押圧するように複雑に曲成され、かつ、図示のように裏面(トレイ1'の側壁6'の外面に当接する面)に上下二箇所各四個ずつ円錐状の小突起部分を設けた中央の細い板部28の下部の係合部材36の挟持部分とからなる部分を嵌着挟持部とし、係合部材30に縦部材32及び傾斜部材34を、係合部材36に縦部材38及び傾斜部材39をそれぞれ順次連設するとともに、さらに傾斜部材34、39を上縁の円弧状板26に連設したプラスチック製の間隔保持具(スペーサ)2'」であり、これを食品包装パックに使用した場合の構成及び作用効果は次のとおりであると認められる(検甲三、四の1・2、五、六の1・2、弁論の全趣旨)。

(一) 構成

<1> トレイ1'内の食品を透明フィルム8'で包装する食品包装パックにおいて、

<2> トレイ1'の側壁6'の内面部分に当接する側縁の棒状板20、22の下部の係合部材30の二本(但し下縁部分で連結されている。)の受止め部分とトレイ1'の側壁6'の外面を押圧するように複雑に曲成され、かつ、図示のように裏面(トレイ1'の側壁6'の外面に当接する面)に上下二箇所各四個ずつ円錐状の小突起部分を設けた中央の細い板部28の下部の係合部材36の一本の挟持部分とからなる部分を三本足構造の嵌着挟持部とし、係合部材30に縦部材32及び傾斜部材34を、係合部材36に縦部材38及び傾斜部材39をそれぞれ順次連設するとともに、さらに傾斜部材34、39を上縁の円弧状板26に連設して、プラスチック製の間隔保持具(スペーサ)2'を形成し、

<3> この間隔保持具(スペーサ)2'の嵌着挟持部をトレイ1'の側壁6'に挟着させ、

<4> 食品を入れたトレイ1'を透明フィルム8'で傾斜部材34、39及び円弧状板26の上部を押圧して包装するようにしたことを特徴とする食品包装パック。

(二) 作用効果

<1> 本件考案の作用効果(1)と同旨

<2> トレイ側壁の内面部分に当接する二本の受止め部分とトレイ側壁の外面を押圧するように複雑に曲成された、プラスチックの弾性変形を利用したクリップ状構造で、かっ、裏面(トレイ1'の側壁6'の外面に当接する面)に円錐状の小突起部分を有する一本の挟持部分とからなる三本足構造の嵌着挟持部をトレイ側壁に挟着する(挟持部分がトレイ側壁部分を挟持する)することにより、トレイ側壁上において間隔保持具(スペーサ)の取付け姿勢が安定的に保たれるので、トレイの底に間隔保持具(スペーサ)を据えるスペースを必要とせず、見映も良好であり、さらにトレイに溝を有する突起物や、段部を設ける必要がなく、しかもフィルムを簡単に被せ付ける作業ができ、パック包装作業の効率もよい。

<3> フィルムが接触する支え部が側面視円弧状に形成されているから、フィルムの張力に合わせて支え部が弾性変形してよく馴染み、フィルムが破損したりすることがなくなる。

2  本件考案の構成要件(2)について

本件考案の構成要件(2)の間隔保持具を構成する、「傾斜板」、「縦部材」及び「二股部」と表示されている部分の形状(構造)及び機能について、本件登録請求の範囲の記載からは、これら三者が順次連結されることと二股部をトレイ側壁に係合させることのみは明らかであるけれども、それらの具体的形状が明らかにできないので、次に本件明細書の記載及び本件実施例図(第1~第10図)を参酌して考察する。

(一) 上部構造

(1) 「傾斜板」については、考案の詳細な説明に、「なお傾斜板5と縦部材との角度θは0~90度の間、好ましくは20~70度とし、透明フィルムで押圧しながらパックしたときに角度θが90度前後となるようにする。」との記載があり(補正公報訂3頁37~39行)、本件実施例図はすべて右記載に対応するから、傾斜板は、透明フィルムがトレイに盛付けられた食品に密着しないように、フィルムを食品の上方に保持する板状部材で、縦部材との角度は適宜変えられるものであると解すべきである。

(2) 縦部材については、右説明に、「縦部材4の機能は、専ら傾斜板5を支えるためのものであり、必ずしも二股部3に対して垂直なもののみを意味するのではなく、ある程度、傾斜していても、傾斜板5を支えるものであればよい。」との記載があり(補正公報訂3頁34~35行)、本件実施例図はすべて右記載に対応するから、縦部材は二股部と傾斜板との間に位置し、傾斜板と二股部とにそれぞれの機能を発揮させるために、トレイの底面に対して縦方向に傾斜板を支持する部材であると解すべきである。

(3) 傾斜板と縦部材との関係については、<1> 本件登録請求の範囲自体に、「・・・二股部に縦部材を連設し、さらにこの縦部材に傾斜板を連設して・・・透明フィルムで傾斜板の上面を押圧して・・・」と明記し、両者が別個の形状(構造)と機能を有する部材であることを前提としているうえ、そもそも「傾斜」及び「縦部」は方向を示す用語であるから、両者を連設する場合の形状は無限定であるとはいえないこと、<2> 右(1)、(2)に示した両者の機能上の差異からすると、少なくとも縦部材は傾斜板を支える位置においてこれに連設することが必要であること、<3> 右考案の詳細な説明に、「なお傾斜板5と縦部材との角度θは0~90度の間、好ましくは20~70度とし、」(補正公報訂3頁37~38行)との、両者間の角度の測定が可能であることを示唆する記載があること、<4> 右<3>の記載に続いて「透明フィルムで押圧しながらパックしたときに角度θが90度前後となるようにする。」(補正公報訂3頁38~39行)との、包装時には常に縦部材と傾斜板とが角度を形成する旨の記載があること、<5> 本件実施例図(第1~第10図)には、傾斜板と縦部材は、両者の境目(以下「連設部」という。)で折れ曲がり、側面視において、連設部が角を形成し連設部の両側で傾斜板と縦部材がそれぞれ直線を形成する別個の平板として描かれていることに照らすと、傾斜板は専ら透明フィルムを支持する作用効果を奏する部材であり、他方、縦部材は専ら傾斜板を所定の高さ位置に支持する作用効果を奏する部材であって、傾斜板と縦部材は、少なくとも透明フィルムで押圧しながらパックしたときに、連設部で折れ曲がり、側面視において、連設部が角を形成する別個の平板状の部材であると解さざるを得ない(右<3>のように透明フィルムで包装前の状態において傾斜板と縦部材との角度θが0度のもの、すなわち包装前の状態において両者が外見では一直線の平板状のものも、右<4>のように透明フィルムで押圧して包装した時には常に角度θが約90度前後となるように連設部で折れ曲がる構造になっている旨明記されている。)。

(二) 下部構造

(1) 二股部については、「二股部に縦部材を連設」すること(構成要件(2))、その使用方法は「トレイの側壁に係合させ」ること(構成要件(3))、その構造につき考案の詳細な説明には「二股部3の左側に縦部材を連設してもよく、また第6図に示すように二股部3の中央上部に縦部材を連設してもよい。また第7図および第8図に示すように、平板の中央を切り欠いて二股部3を形成してもよい。10は切欠き係合片である。」と記載され(補正公報訂3頁41~43行)、本件明細書添付図面に図示された二股部の形状はすべて縦断面視コ字状をし、その一方足片又は両足片連結部の中央に縦部材が連結され(第1~第7図)、両足片連結部がトレイ側壁の上端部に係止し、右係止部を支持基点にすることにより透明フィルムを上方に保持する傾斜板を支持するためにある縦部材にその本来の作用効果を発揮させている状態が図示(第1、2図)されている。

(2) 右各記載及び図示の内容に加えて、「二股」という語が、「もとが一つで、末の二つに分れたもの。」(広辞苑第四版二二五〇頁)、「もとが一つで先が二つに分れていること。」(大辞林二一二〇頁)を意味することを併せ考えると、本件考案の構成要件(2)及び(3)の「二股部」とは、トレイ側壁を挟むための両足片が連結されており、その連結部がトレイ側壁の上端部に係止し、その係止部を支持基点にすることによりこれに連設された縦部材にその本来の作用効果を発揮させるという機能構造を有するものであると解さざるを得ない。

3  本件考案の間隔保持具(構成要件(2))とイ号物件との対比

(一) 上部構造

イ号物件の傾斜部材34、39及び円弧状板26と縦部材32、38からなる支え部は、機能面からみると、本件考案の構成要件(2)の傾斜板(直接フィルムを保持する部分)と縦部材(傾斜板を支持する部分)とからなる間隔保持具の上部に相当するものである。しかしながら、形状(構造)面からみると、イ号物件の傾斜部材34、39及び円弧状板26と縦部材32、38は、異なる部材を連設しているのではなく、全体が側面視イ号図面第2図に図示のように一体として円弧状にトレイの内側に湾曲して形成され、透明フィルムで押圧しながらパックしたときにおいても、直接フィルムを保持する部分と右部分を支持する部分とが、連設部で折れ曲がり、側面視において、連設部が角を形成するものではない点において、本件考案の構成要件(2)の間隔保持具とその形状(構造)を全く異にする。しかも、イ号物件は、これを食品包装パックに使用した場合、フィルムの接触する支え部が円弧状を形成していることから、フィルムの張力に合わせて支え部が弾性変形してよく馴染み、フィルムの破損がなくなるとの、本件考案の間隔保持具にはない作用効果を奏する(ちなみに、本件考案の間隔保持具は、傾斜板と縦部材との連設部〔特にその両端部〕が角を形成するため、その実施段階において例えばその部分に丸みをつける等の、フィルム破損防止のための手段を別に講じなければならない。)。したがって、イ号物件は、本件考案の構成要件(2)の間隔保持具の傾斜板及び縦部材を具備すると認めることはできない。

この点につき、原告は、本件考案の間隔保持具上部(傾斜板及び縦部材)の形状には限定がなく、イ号物件のように間隔保持具上部の形状が円弧状であるものも本件考案の間隔保持具の一実施態様に過ぎないと主張するが、前記2で判示したところに加えて、(1) 本件実施例図(第1~第10図)は、すべて本件考案の願書添付の図面と同じものであり、出願以来一度も補正されていないこと(甲一、二、乙一、弁論の全趣旨)、(2) 本件考案の実用新案権登録出願は渡部一二(以下「渡部」という。)がしたものであるが、昭和六二年一二月二五日、同年三月三日に設立された原告(代表者は渡部)に対し、右実用新案登録を受ける権利を譲渡し、原告は、これに基づいて昭和六三年一月一三日、特許庁長官にその旨の実用新案登録出願人名義変更届をしたものであるところ(当裁判所に顕著・当庁昭和六三年(ワ)第六一一号製造販売差止外請求事件)、本件考案の実用新案登録出願後である昭和六〇年一二月七日に、渡部は本件考案の間隔保持具を改良してトレイ側壁に係合するだけでなく、トレイの底面にも載置することができる間隔保持具を用いた食品包装パックに関する考案の出願(実願昭六〇-一八八六三一)をしたが、右願書添付の図面(公開公報第1~第10図)には、その実施例として、本件考案の傾斜板に該当する部分(支え片)と縦部材に該当する部分(縦部材)とが、連設部で折れ曲がり、側面視において連設部が角を形成する平板状のもの(但し、縦部材は棒状のものも含む。)しか開示されていないこと(甲四添付の甲三)、に照らすと、本件考案は、その構成要件(2)の間隔保持具上部の形状(構造)に傾斜板と縦部材との境目(連設部)がない円弧状のものを含むとの意思の下に出願された考案であるとは到底考えられないから、原告の右主張は採用できない。

(二) 下部構造

イ号物件の係合部材30と36からなる嵌着挟持部は、機能面からみると、本件考案の構成要件(2)及び(3)の二股部に相当するものである。しかしながら、形状(構造)面からみると、イ号物件の嵌着挟持部は、トレイ1'の側壁6'の内面部分に当接する側縁の棒状板20、22の下部の係合部材30の二本の受止め部分とトレイ1'の側壁6'の外面を押圧するように複雑に曲成され、しかも挟持部分の裏面(トレイ1'の側壁6'の外面に当接する面)に円錐状の小突起部分を上下二箇所に各四個ずつ設けた中央の細い板部28の下部の係合部材36の挟持部分とからなるクリップ状の構造である(これら突起部分は発泡スチロールなどから形成されたトレイ1'の側壁6'の表面にくい込んで間隔保持具の揺動を防止し、プラスチックの弾性変形を利用したクリップ状構造に由来する挟着効果をさらに増強する。)から、前判示のとおりイ号物件には本件考案にいう縦部材が存在しない関係上そもそもこれに連設する二股部もないうえ、イ号物件の嵌着挟持部はトレイ側壁を挟む両足片が連結されていないし、その連結部がトレイ側壁の上端に係止することもなく、その係止部を支持基点とすることによりこれに連設された上部部材(本件考案の縦部材に相当する部分)にその本来の作用効果を発揮させるという機能構造のものではない。したがって、イ号物件は、本件考案の構成要件(2)及び(3)の二股部を具備すると認めることはできない。

4  単なる設計変更ないし均等物との主張について

原告は、イ号物件と本件考案の間隔保持具との間の前記(第三、一、1(一))相違点<1>ないし<3>は単なる設計変更ないし均等物に過ぎない旨主張するが、本件考案の特徴的本質部分である傾斜板、縦部材及び二股部について、いずれも本件間隔保持具上部とその形状(構造)を全く異にするイ号物件を本件考案の間隔保持具の単なる設計変更ないし均等物に過ぎないということはできない。

5  利用関係の主張について

前示のとおり、イ号物件の上部の支え部は、本件考案の傾斜板及び縦部材とは全く構成を異にし、イ号物件は本件考案の傾斜板及び縦部材の構成要件を欠如し、また、イ号物件の下部の係合部は本件考案の二股部とは全く構成を異にし、イ号物件は本件考案の二股部の構成要件を欠如するものであり、本件考案の構成要件(2)の間隔保持具の構成に単に「切欠き部を設ける」構成を付加したものとはいえないから、利用関係を論ずる余地はなく、利用関係についての原告の主張は採用できない。

6  結論

以上によれば、イ号物件を食品包装パツクに使用しても本件考案の技術的範囲に属すると認めることはできないから、争点2(間接侵害の成否)、争点3(直接侵害の教唆幇助の成否)及び争点4(損害賠償金額)について判断するまでもなく、原告の被告に対する本訴請求は、すべて理由がないといわざるを得ない。

(裁判長裁判官 庵前重和 裁判官 小澤一郎 裁判官辻川靖夫は転補のため署名押印することができない。 裁判長裁判官 庵前重和)

<19>日本国特許庁(JP) <11>実用新案出願公告

<12>実用新案公報(Y2) 昭62-31417

<51>Int. Cl.4B 65 D 77/24 25/20 識別記号 庁内整理番号 7123-3E 6927-3E <24><44>公告 昭和62年(1987)8月12日

考案の名称 食品包装パツク

<21>実願 昭59-104369 <65>公開 昭61-19582

出願 昭59(1984)7月10日 昭61(1986)2月4日

<72>考案者 渡部一二 茨木市水尾3丁目17番608号

<71>出願人 渡部一二 茨木市水尾3丁目17番608号

代理人 弁理士 塩出其一

審査官 秋月均

早期審査対象出願

<36>参考文献 実開 昭58-79557(JP、U) 実開 昭57-24265(JP、U)

<37>実用新案登録請求の範囲

トレイ内の食品を透明フイルムで包装する食品包装パツクにおいて、二股部に縱部材を連設し、さらにこの縱部材に傾斜板を連設してプラスチツク裂の間隔保持具を形成し、この間隔保持具の二股部をトレイの側壁に係合させ、食品を入れたトレイを透明フイルムで傾斜板の上面を押圧して包装するようにしたことを特徴とする食品包装パツク.

考案の詳細な説明

〔産業上の利用分野〕

本考案は、刺身などの生鮮食品の包装パツクに関するものである.

〔従来の技術〕

刺身を容器(トレイ)に盛り付けて販売する場合、鮮度が良いこととボリユーム感のあるきれいな盛付が要求される.トレイに刺身をボリユーム付けして盛り付けるとき、どうしても刺身がトレイの上部からはみ出し、透明フイルムでパツクすると、刺身は押されて見映が悪くなり鮮度も落ちてくる.

従来は、細長い透明プラスチツク板を山形(逆V字状または逆U字状)の曲げてブリツジ状にしてトレイに入れ、透明フイルムが刺身に密着しないようにして、間隔を保持していたが、この山形の透明プラスチツク板の安定性が悪く作業能率が悪かつた.

従来、実開昭58-79557号公報に示されるように、縦長の合成樹脂板の略中央部に薬味を収納する収納用凹部2を設けた包装容器用補助具1が提案されている.

また実開昭57-24265号公報に示されるように、台座1に支柱2を立設し、この支柱頂部に扁平形状のフイルム受け3を形成した食品容器のフイルム包装用支柱が提案されている.

〔考案が解決しようとする問題点〕

盛付時に刺身がトレイからはみ出した状態で透明フイルムでパツクすると、刺身に透明フイルムが密着し、かつ刺身が押されて外観が悪くなり、鮮度も落ちてくるという問題点がある.また従来の山形のプラスチツク板では固定されていないので作業能率が悪いという問題点がある.

また実開昭58-79557号公報記載の補助具は板状であるので、容器に固定し難くきわめて不安定であり、容器の底板と側板とが第5図に示されるように略90°に接合されている容器には使用できるが、容器の底板と側板との角度が略90°より大きく傾斜している容器や、側板が湾曲して取り付けられている容器には板状体の端部がひつかからないので使用できない.また容器の大きさに合わせて補助具を切断しなければならず、作業効率が低い.さらに食品を包装した場合に、食品の上に板状の補助具が位置するので、外観も好ましくなく、また冷蔵陳列すると、透明の合成樹脂でも曇り、さらに見映が悪くなるなどの問題点がある.

また実開昭57-24265号公報記載の包装用支柱は台座1を有しており、この台座を容器の底に置くものであるので、食品を入れる前に包装用支柱を入れなければならない。したがつて容器の底が平坦であることが必要で、容器の底のスペースも必要であり、このため作業性が悪く、かつ大きの容器を必要とするので非経済的であるなどの問題点がある。

本考案は上記の問題点を解決するためになされたもので、盛り付けしたそのままの姿で、容器の大きさ、形状に関係なく能率よくかつ迅速、確実にパツクでき、しかも保持具のスペースを必要としない食品包装パツクの提供を目的とするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案の食品包装パツクは、第1図および第2図に示す番号により説明すれば、トレイ1内の食品を透明フイルム8で包装する食品包装パツクにおいて、二股部3に縦部材4を連設し、さらにこの縦部材4に傾斜板5を連設して透明プラスチツク製の間隔保持具2を形成し、この間隔保持具2の二股部3をトレイ1の側壁6に係合させ、食品を入れたトレイ1を透明フイルム8で傾斜板5の上面を押圧して包装するようにしたことを特徴としている.

〔作用〕

したがつて刺身が盛付時にトレイ1の側壁6の高さより上にはみ出しても、間隔保持具2により、透明フイルム8は刺身の上側にある空間を有するように張られるので、透明フイルム8が刺身に密着して押し付けるようなことはない.

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を第1図~第4図により説明する.1は発泡スチロールなどから形成されたトレイ(容器)、2は本考案の要部である透明プラスチツク製の間隔保持具である.この間隔保持具2は二股部3に縦部材4を連設し、さらにこの縦部材4に傾斜板5を連設して一体的に形成されたものである.縦部材4の機能は、専ら傾斜板5を支えるためのものであり、必ずしも二股部3に対して垂直なもののみを意味するのでなく、ある程度、傾斜していても、傾斜板5を支えるものであればよい.間隔保持具2の二股部3をトレイ1の側壁6に係合させ、刺身7を入れたトレイ1を透明フイルム8で傾斜板5の上面を押圧して包装する.9は大根を細切りにしたけんである。なお傾斜板5と垂直方向との角度θは0~90度の間、好ましくは20~70度とし、透明フイルムで押圧しながらパツクしたときに角度θが90度前後となるようにする。

間隔保持具として第5図に示すように、二股部3の左側に縦部材4を連設してもよく、また第6図に示すように二股部3の中央上部に縦部材4を連設してもよい。また第7図および第8図に示すように、平板の下部中央を切り欠いて二股部3を形成してもよい。10は切欠き係合片である.

傾斜板5の上面に透明フイルム8が密着した状態で保冷すると、傾斜板5の下面に霜が形成されて外観上好ましくないので、第9図に示すように傾斜板5の上面に突起11を設けたり、第10図に示すように傾斜板5の先端に折曲げ片12を設けたりして、透明フイルム8が傾斜板5の上面に密着しないようにする場合がある。

〔考案の効果〕

本考案は上記のように構成されているので、透明フイルムがトレイからはみ出した刺身などの食品に密着して押圧することはなく、このため食品の外観を良好にし、かつ鮮度を落とすようなこともない。また間隔保持具はトレイの側壁に係合固定されるので、トレイの大きさ、形状に関係なく、パツク包装作業を迅速、かつ確実に行うことができ、しかも間隔保持具のスペースを必要としないという実用的効果を奏する.

図面の簡単な説明

第1図は本考案の食品包装パツクの一実施例を示す斜視図、第2図は第1図に示す食品包装パツクの横断面図、第3図は間隔保持具の一例を示す縦断面図、第4図は同正面図、第5図~第7図は間隔保持具の他の例を示す縦断面図、第8図は第7図に示す間隔保持具の正面図、第9図および第10図は間隔保持具の傾斜板の例を示す断面図である.

1……トレイ、2……間隔保持具、3……二股部、4……縦部材、5……傾斜板、6……側壁、7……刺身、8……透明フイルム、9……けん、10……切欠き係合片、11……突起、12……折曲げ片.

第1図

<省略>

第2図

<省略>

第3図

<省略>

第4図

<省略>

第5図

<省略>

第6図

<省略>

第7図

<省略>

第8図

<省略>

第9図

<省略>

第10図

<省略>

第2部門(6) 実用新案法第13条で準用する特許法第64条の規定による補正の掲載 平2.5.29発行

昭和59年実用新案登録願第104369号(実公昭62-31417号、昭62.8.12発行の実用新案公報2(6)-14〔221〕号掲載)については実用新案法第13条で準用する特許法第64条の規定による補正があつたので下記のとおり掲載する。

実用新案登録第1809512号

Int. Cl.5B 65 D 77/24 25/20 識別記号 庁内整理番号 7127-3E 6540-3E

1 「実用新案登録請求の範囲」の項を「トレイ内の食品を透明フイルムで包装する食品包装パツクにおいて、二股部に縦部材を連設し、さらにこの縦部材に傾斜板を連設してプラスチツク製の間隔保持具を形成し、この間隔保持具の二股部をトレイの側壁に係合させ、食品を入れたトレイを透明フイルムで傾斜板の上面を押圧して包装するようにしたことを特徴とする食品包装パツク。」と補正する。

2 「考案の詳細な説明」の項を「〔産業上の利用分野〕

本考案は、刺身などの生鮮食品の包装パツクに関するものである。

〔従来の技術〕

刺身を容器(トレイ)に盛り付けて販売する場台、鮮度が良いこととボリユーム感のあるきれいな盛付が要求される。トレイに刺身をボリユーム付けして盛り付けるとき、どうしても刺身がトレイの上部からはみ出し、透明フイルムでパツクすると、刺身は押されて見映が悪くなり鮮度も落ちてくる。

従来は、細長い透明プラスチツク板を山形(逆V字状または逆U字状)に曲げてブリツジ状にしてトレイに入れ、透明フイルムが刺身に密着しないようにして、間隔を保持していたが、この山形の透明プラスチツク板の安定性が悪く作業能率が悪かつた。

従来、実開昭58-79557号公報に示されるように、縦長の合成樹脂板の略中央部に薬味を収納する収納用凹部2を設けた包装容器用補助具1が提案されている。

また実開昭57-24265号公報に示されるように、台座1に支柱2を立設し、この支柱頂部に扁平形状のフイルム受け3を形成した食品容器のフイルム包装用支柱が提案されている。

さらに実公昭58-46972号公報に示されるように、皿状基体1の相対向する側壁基部に、可撓性保護帯4の両端部を係止するための垂直溝2を有する突起部3を、前記皿状基体1と一体的に成形した収納用容器が提案されている。

また実公昭59-2681号公報に示されるように、トレー1の対向側壁の両側に段部11を設け、これらの段部11に包装用フイルム展張保持用骨部材4の両脚端41を係止させ、骨部材4をアーチ状にまたがらせて取り付けた食品の包装体が提案されている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

盛付時に刺身がトレイからはみ出した状態で透明フイルムでパツクすると、刺身に透明フイルムが密着し、かつ刺身が押されて外観が悪くなり、鮮度も落ちてくるという問題点がある。また従来の山形のプラスチツク板では固定されていないので作業能率が悪いという問題点がある。

また実開昭58-79557号公報記載の補助具は板状であるので、容器に固定し難くきわめて不安定であり、容器の底板と側板とが第5図に示されるように略90°に接合されている容器には使用できるが、容器の底板と側板との角度が略90°より大きく傾斜している容器や、側板が湾曲して取り付けられている容器には板状体の端部がひつかからないので使用できない。また容器の大きさに合わせて補助具を切断しなければならず、作業効率が低い。さらに食品を包装した場合に、食品の真上に板状の補助具が位置するので、外観も好ましくなく、また冷蔵陳列すると、透明の合成樹脂でも雲り、さらに見映が悪くなるなどの問題点がある。

また実開昭57-24265号公報記載の包装用支柱は台座1を有しており、この台座を容器の底に置くものであるので、食品を入れる前に包装用支柱を入れなければならない。したがつて容器の底が平坦であることが必要で、容器の底のスペースも必要であり、このため作業性が悪く、かつ大き目の容器を必要とするので非経済的であるなどの問題点がある。

さらに実公昭58-46972号公報記載の収納用容器においては、保護帯4が板状であるので、容器に固定するためには上記のように垂直溝2を有する突起部3を両側に設けなければならないので、コストアツプにつながり、また容器の大きさに合わせて保護帯4を切断しなければならず作業効率が低い。さらに湾曲する長い保護帯を相対向する2点で支えるような構造であるがゆえに、食品を包装した場合に、食品の真上に板状の保護帯4が位置するので、外観も好ましくなく、また冷蔵陳列すると、透明の合成樹脂でも雲り、さらに見映が悪くなるなどの問題点がある。

また実公昭59-2681号公報記載の食品の包装体においては、骨部材4を容器に固定するためには、上記のようにトレー1の側壁の両側に段部11を設けなければならないので、コストアツプにつながり、またトレー1の大きさに合わせて骨部材4を予め形成しなければならず、この面からもコストアツプにつながるとともに作業効率が低くなる。さらに湾曲する骨部材を相対向する2点で支える構造であるがゆえに、食品を包装した場合に、食品の真上に骨部材4が位置するので、外観も好ましくなく、また冷蔵陳列すると、透明の合成樹脂でも雲り、さらに見映が悪くなるなどの問題点がある。

本考案は上記の問題点を解決するためになされたもので、盛り付けしたそのままの姿で、容器の大きさ、形状に関係なく能率よくかつ迅速、確実にパツクでき、しかも保持具のスペースを必要とせず、かつ見映も良好であり、さらにトレイに、溝を有する突起物や、段部を設ける必要のない食品包装パツクを提供することを目的とするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案の食品包装パツクは、第1図および第2図に示す番号により説明すれば、トレイ1内の食品を透明フイルム8で包装する食品包装パツクにおいて、二股部3に縦部材4を連設し、さらにこの縦部材4に傾斜板5を連設して透明プラスチツク製の間隔保持具2を形成し、この間隔保持具2の二股部3をトレイ1の側壁6に係合させ、食品を入れたトレイ1を透明フイルム8で傾斜板5の上面を押圧して包装するようにしたことを特徴としている。

〔作用〕

したがつて刺身が盛付時にトレイ1の側壁6の高さより上にはみ出しても、間隔保持具2をトレイの側壁6にワンタツチで取り付けて、透明フイルム8は刺身の上側にある空間を有するように張られるので、透明フイルム8が刺身に密着して押し付けるようなことはない。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を第1図~第4図により説明する。1は発泡スチロールなどから形成されたトレイ(容器)、2は本考案の要部である透明プラスチツク製の間隔保持具である。この間隔保持具2は二股部3に縦部材4を連設し、さらにこの縦部材4に傾斜板5を連設して一体的に形成されたものである。縦部材4の機能は、専ら傾斜板5を支えるためのものであり、必ずしも二股部3に対して垂直なもののみを意味するのではなく、ある程度、傾斜していても、傾斜板5を支えるものであればよい。間隔保持具2の二股部3をトレイ1の側壁6に係合させ、刺身7を入れたトレイ1を透明フイルム8で傾斜板5の上面を押圧して包装する。9は大根を細切りにしたけんである。なお傾斜板5と縦部材との角度θは0~90度の間、好ましくは20~70度とし、透明フイルムで押圧しながらパツクしたときに角度θが90度前後となるようにする。

間隔保持具として第5図に示すように、二股部3の左側に縦部材4を連設してもよく、また第6図に示すように二股部3の中央上部に縦部材4を連設してもよい。また第7図および第8図に示すように、平板の下部中央を切り欠いて二股部3を形成してもよい。10は切欠き係合片である。

傾斜板5の上面に透明フイルム8が密着した状態で保冷すると、傾斜板5の下面に霜が形成されて外観上好ましくないので、第9図に示すように傾斜板5の上面に突起11を設けたり、第10図に示すように傾斜板5の先端に折曲げ片12を設けたりして、透明フイルム8が傾斜板5の上面に密着しないようにする場合がある。

〔考案の効果〕

本考案は上記のように構成されているので、透明フイルムがトレイからはみ出した刺身などの食品に密着して押圧することはなく、このため食品の外観を良好にし、かつ鮮度を落とすようなこともない。また間隔保持具はトレイの側壁にワンタツチで係合固定されるので、トレイの大きさ、形状に関係なく、パツク包装作業を迅速、かつ確実に行うことができ、しかも間隔保持具のスペースを必要とせず、見映も良好であり、さらにトレイに、溝を有する突起物や、段部を設ける必要がないなどの実用的効果を奏する。」と補正する。

物件目録(一)

別紙イ号図面(一)に示すプラスチック製の間隔保持具であって、別紙イ号図面(一)第1図はその正面図、第2図はその側面図、第3図はこれをトレイの側壁に係合させて透明フイルムで上面を押圧して包装した状態の図である。

これをトレイの側壁に係合させて透明フイルムで上面を押圧して包装するに際し、側縁の棒状板20、22の下部の係合部材30と、図示のように屈曲した中央の細い板部の下部の係合部材36を、トレイの側壁に第3図記載のとおり係合させる。

イ号図面(一)

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物件目録(二)

別紙イ号図面(二)に示すプラスチック製の間隔保持具であって、別紙イ号図面(二)第1図はその正面図、第2図はその側面図、第3図はこれをトレイの側壁に係合させて透明フイルムで上面を押圧して包装した状態の図である。

これをトレイの側壁に係合させて透明フイルムで上面を押圧して包装するに際し、側縁の棒状板20、22の下部の係合部材30と、図示のように屈曲した中央の細い板部の下部の係合部材36を、トレイの側壁に第3図記載のとおり係合させる。

イ号図面(二)

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実用新案公報

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実用新案第13条で準用する特許法第64条の規定による補正の掲載

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